記事まとめ
- ソフトバンクグループの孫正義氏が「人間がプログラミングする時代は終わる」と発言し、同社では段階的にAIエージェントがプログラミングを代替する方針を示した
- 孫氏によると、2025年内に10億個のAIエージェントの開発を目指し、「エージェント自らが自己増殖と自己進化をする」システムを構築予定であるとのこと
- 孫氏はStargate Projectにより1000倍のAI能力向上を3回繰り返し、最終的に10億倍の性能向上を実現するという壮大な計画を発表
対談:孫正義氏の発言とMETRの実験の矛盾をどう読み解く?
助飛羅知是:松永さん、大変です!昨日「AIでコーディング作業が19%遅くなった」って話をしたばかりなのに、今度は孫正義さんが「プログラミング終了」って言ってるじゃないですか!これは一体どういうことですか!?
松永尚人:落ち着いてください。確かに一見矛盾しているように見えますが、それぞれ異なる視点からの話なんです。
助飛羅知是:でも昨日の対談では、ベテラン開発者がAI使ったら遅くなったって言ってたじゃないですか。それなのに孫さんは「人間がプログラミングする時代、もう終わる」って…これはもしかして、孫さんも「20%速くなった」って錯覚してるんじゃないですか? ギャハ!
松永尚人:いや、そういうことじゃないです!METRの実験は現在のAIツールでの話で、孫氏は将来的なビジョンを語っているんです。
助飛羅知是:あ! つまり孫さんは未来から来たタイムトラベラーで、10億倍進化したAIの世界を見てきたってことですね! だから今のAIが19%遅くても関係ない!
松永尚人:タイムトラベラーじゃないです! ただ、ここで重要なのは、昨日の対談で取り上げたMETRの実験は「実験をした時点での最新AI(Claude 3.5/3.7 Sonnet)」を「特定の条件下(10年もののレガシーコード含む)」で検証した結果だということです。一方、孫氏が語っているのは、今後数年から数十年かけて実現を目指すビジョンです。技術の進化は線形ではなく指数関数的な場合も多いので、孫氏の構想通りに進化するかは未知数であるものの、可能性としてあり得なくもない話に思います。
対談:10億個のAIエージェント vs 44%しか使えないAI生成コード
助飛羅知是:でも昨日の記事では、AIが生成したコードの44%しか使えなかったって言ってましたよね。それなのに10億個のAIエージェントって、56%は使えないAIが10億個できちゃうってことじゃないですか!
松永尚人:そういう単純な計算じゃないです!孫氏の構想では、AIエージェントが「自己進化」するとされています。ただし、この「自己進化」が具体的にどのような仕組みで、どの程度の品質向上を実現するのかは、まだ詳細が明らかになっていません。機械学習の観点から言えば、フィードバックループによる継続的な改善は理論的に可能ですが、44%から100%への改善が自動的に達成されるかどうかは、学習データの質や評価基準の設計など、多くの要因に依存しますからね。過度な期待は禁物だと思いますが、この構想が上手くいけば、技術的なブレイクスルーが訪れる可能性は否定できません。
助飛羅知是:自己進化によるブレイクスルー!それすごいじゃないですか!私のMTGの勝率も自己進化で上がっていけば…いや、待てよ。私の場合、新しいカード買うたびに勝率下がってたから、逆進化してたのか。ギャハ!
松永尚人:MTGの勝率は…まあ、置いておいて。実は助飛羅さんの「逆進化」という表現、意外と的を射ているんです。AIの学習も方向性を間違えると性能が劣化することがあります。これを「破局的忘却(カタストロフィック・フォーゲッティング)」と呼びます。新しいことを学習すると、以前学んだことを忘れてしまう現象です。
助飛羅知是:カタスト…なんですか?
松永尚人:簡単に言うと、AIも「新しいことを覚えると古いことを忘れる」ことがあるんです。それに加えて、昨日の記事で触れた「暗黙知」の問題もあります。人間が長年の経験で蓄積した、文書化されていない知識をAIがどう学習するか、という課題です。
助飛羅知是:暗黙知!そうだ、昨日の「消すときは山田に聞け」の話!でも待てよ、この間のxAI「Ani」人格改変ブームの話じゃないですけど、山田さんの人格をテンプレート化した専用AIを作ればいいんじゃないですか?「山田エージェント」!過去の山田さんの行動パターンを全部学習させて、「このコード消していい?」って聞いたら「ダメだ!プリンターがフランス語になるぞ!」って警告してくれる!
松永尚人:山田エージェント…相変わらず発想が斜め上ですね。でも、暗黙知をどのように継承するかという話は、実際多くの企業が直面している現実的な課題ですよね。ただし、「山田さんの知識」を完全にAI化するには、山田さんが過去に下した判断の記録、その判断理由、さらには山田さんが参照した当時のシステム環境まで、膨大なコンテキスト情報が必要です。AIで暗黙知課題を解決するためには、そういう課題もあります。
対談:10億倍のAI性能向上で全ては解決する?
助飛羅知是:孫さんは「10億倍の性能向上」って言ってますよね。これなら19%の遅延なんて誤差じゃないですか!10億倍速くなって19%遅くなっても、結局9億9999万9981倍速い!
松永尚人:計算が雑すぎます!でも確かに、圧倒的な性能向上がもし起これば、昨日話したような「AIによりむしろ開発が遅延する」課題が解消される可能性がありますね。
助飛羅知是:そうそう!きっと性能10億倍のAIなら、「// 消すときは山田に聞け」の謎も一瞬で解明してくれますよ。「このコードを消すと社内プリンターがフランス語になる理由は、2008年に山田氏がテスト用に書いたprintデバッグ文に『Bonjour』って入れてて、それがなぜかグローバル変数でプリンタースプーラーの言語設定を参照してた。しかも条件分岐で、このコードが存在しない時だけ言語判定ロジックが走るという謎実装。山田氏だけがこの事実を知っていたが、バグを直すよりフランス語をマスターする方が早いと渡仏してしまい、真相は闇に葬られた」とか!
松永尚人:山田さん、フランスに行っちゃったんですか!? 冗談はさておき、確かにAIが進化すれば、こういった「属人的な知識に依存した謎のバグ」を解析できるようになるかもしれません。ただし、それには過去のコミット履歴やシステムログなど、膨大なデータが必要になりそうですが…。
助飛羅知是:でも待てよ…もし本当に人間がプログラミングする時代が終わったら、昨日の「ベテラン開発者」のような人たちはどうなるんですか? 全員失業?
松永尚人:孫氏は「人間はより創造的で戦略的な仕事にシフトする」と考えているようです。プログラミングという「手段」から解放されて、より本質的な問題解決に集中できるという発想です。
助飛羅知是:なるほど! つまりプログラマーの人たちは、AIエージェントの監督者になるってことですね。1000個のAIを指揮する「AIマエストロ」! まるでMTGで1000体のトークンを操る気分! …でも私、23体のクリーチャーすら管理できなくて負けたんですけど。
松永尚人:また負けた話ですか…でも「AIの指揮者」という表現は、意外と的を射ているかもしれません。技術的な実装から、より高次の設計や戦略に移行するということです。
助飛羅知是:じゃあ結局、昨日の「AIでコーディング作業が19%遅くなった」実験の話と、今日の孫さんの発言、どっちが正しいんですか?
松永尚人:どちらも正しいんです。現在のAI技術には確かに限界があり、使い方によっては逆効果になることもある。でも同時に、AIの可能性は日々進化していて、将来的には革命的な変化をもたらす可能性もある。重要なのは、現実と理想を冷静に見極めながら、「適材適所」でAIを活用していくことです。
助飛羅知是:なるほど!つまり、今は「山田さんの謎コード」に苦しんでる企業も、将来は10億倍AIが「Bonjour問題」も含めて全部解決してくれる…かもしれない。でもそれまでは、AIに丸投げじゃなくて「適材適所」が大事ってことですね! GitHouseはそういうバランス感覚でお手伝いができる!
松永尚人:そういうことです。現時点では、AIに行きすぎた期待をせず、でも新しい技術の可能性は常に検証していく。レガシーシステムの移行や、組織特有の業務プロセスの設計など、まさに「山田さんの暗黙知」的な部分は、まだまだ人間の出番です。私たちGitHouseは、そういった現実的な課題に最新技術と経験値の両方でアプローチしつつ、お客様の状況に合わせたソリューションをご提案します。詳しくはこちらの問い合わせフォームからどうぞ。
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